Sambaranda - Vinho de Ponta / Ponta de Areia を耳コピしました

訳あって不定期でアカペラの耳コピをする訳だが、今回はブラジルのプロアカペラグループ、SambarandaのVinho de Ponta / Ponta de Areiaをコピーした。久しぶりにこういうガッツリハモる系の曲をやってみたいなと思ったので。

 

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2018年6月投稿

原曲

Vinho de Ponta (Tarita de Souza / Cristiano Santos)

Ponta de Areia (Fernando Brant / Milton Nascimento)

 

原曲が二つあり、メドレーのような形式となっている。前半の曲はこのグループのメンバーも関わっているらしいのだが調べても何も情報も得られなかった。

後半はブラジルのポピュラー音楽における著名なシンガーMilton Nascimentoによる"砂の岬"からである。

 

このグループは最近知ったのだが、ポップジャズアカペラとしてなかなか良い。2011年結成で、構成はオーソドックスな女性2、男性4人の6人組らしいが、動画によっては7人写っていることもあり、よくわからない。ともかく公式サイトやyoutubeをみる限りでは最近6人で歌っているようだ。->女性が一人脱退した模様

アルバムを聴いてみるとパーカッションが入っている曲と入っていない曲がある。聴いた感じおそらく歌えるパーカッションが一人いて、曲によって歌ったりパーカスを打ったりしているのだろう。と思っていたら基本6人で歌っていそうなので、パーカッションのみ多重録音か。

それでこの曲も6人いるのかと思いきや、動画に女性が一人いない。風邪でも引いたのかな……なんて筈はなく、6声グループでも5声がやりたくなったのだろう。

この曲はワイングラスでD音をずっと鳴らしつつハモっていくちょっと変わった曲だ。似たようなアカペラ(?)にはThe Real Groupの"Water"がある。YoutubeにはなかったのでSpotifyで。これは5人が水を入れたビンを持ってフーっと吹いている。

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という訳で採譜をしていくと、どう聴いても6声の箇所が多数存在する。2ndの声が女性っぽいので、Topのみ多録しているか、2ndの女性もこっそり参加しているんじゃないだろうか。動画撮るときに風邪ひいてたのかな

常にD音が鳴っているので、この制限された状況でどのように遊ぶか腕の見せ所だが、なるほど転調こそしていないもののFの6thとなったりBbの長3度となったりしている。曲芸レベルではないがマトモな範囲内で、キレイめなハモりとでも言おうか。

全体的に4度上の強進行が少ないし、4thがリードとユニゾン!みたいな箇所も多いので、所謂ジャズアカペラとは言い難い、ちょっと聖歌寄りのアカペラ曲ですね。

むしろこの曲は拍子の面で特色がある。前半は崩されていてもはやよくわからない。後半では、原曲であるPonta de Areiaは4/4+5/4拍子を繰り返しているが、このアレンジは4/4、5/4に加えて6/4や7/4がちょくちょく出てくる。

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廃線になった汽車を歌ったノスタルジーと哀愁漂う一曲である。

 

余談であるがこのワイングラスの音はサイン波の音と非常に近い。これはスペアナを通してみてもわかり、このようにほとんど他の周波数が含まれていない。このことを純音というようだ。

純粋な単音すぎるため、もはや音ではなく耳鳴りのようなノイズに近く聴こえるのは興味深い現象だ。

(実験してみるとわかるが、実際にサイン波を使って”純正律”的な和音を鳴らしても、むしろ汚く聴こえることも多い。個人的な解釈だが純粋な正弦波に近づくと潤滑剤としてのターゲット周辺の周波数が少なくなるため、より正確なハモりが要求される上に、2音がハモりすぎてしまうともはや一体化してしまって単音のように聴こえるためハモっている感がない。・・・というのはピアノの調律の際に複数ある高音弦のピッチをわずかにずらす方が綺麗にsoundするという話にも通ずる筈である)

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冒頭のグラス音をスペアナで見た

みなさん、急にサイン波が欲しくなった時はグラスと水を使いましょう。

……なんていう発想で止まっては甘い。

ワイングラスを割りたい時には正弦波を当てましょう。